インボイス制度がスタートしました。実際に制度が始まってからご留意いただくポイントを3点ほど簡潔にお伝えします。
1. インボイス未発行でこれから登録を進める事業者様向け
令和5年10月1日以降(令和11年9月30日までの日の属する課税期間)準備をする場合、インボイスの開始日を選択できます。ただ、提出日から15日以後の日であることにご留意ください。
例えば3月末決算の会社の場合、新年度スタートの令和6年4月1日以降にインボイス制度の適用を希望する場合は、令和6年3月17日までに適格請求書発行事業者の登録申請書(以下、登録申請書)を提出しましょう。
登録申請書には登録希望日欄があります。令和6年4月1日と記載すれば、例え税務署による登録が完了した日が登録希望日後となった場合であっても、登録希望日(令和6年4月1日)に登録を受けたものとみなされます。
2. 消費税を納税する事業者(簡易課税を選択する事業者を除く)向け
預かった消費税から支払った消費税を控除するためにインボイスを入手・保管することが求められます。一方で、商慣行上、インボイスが入手困難であったり、一定規模以下の事業者の負担も考慮して、インボイスの保存がなくても一定の事項が記載された帳簿の保存のみで仕入税額控除が可能です。
①インボイスを保存しなくてもよい事業者(ただし、少額な取引が対象です。以下参照。)及び②インボイスの入手が困難な取引は以下の通りです。
①前々事業年度の課税売上高が1億円以下の事業者は制度開始から6年間、税込み1万円未満の課税仕入れについてインボイスの保存がなくても帳簿のみで仕入税額控除することが認められます。
②3万円未満の公共交通機関による旅客の運送、3万円未満の自動販売機及び自動サービス機により行われる商品の販売等、古物商を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの古物の購入等
3. インボイス制度を機に免税事業者からインボイス発行事業者として課税事業者となられた方
消費税の仕入税額控除を預かった消費税×80%と見なして計算する方法です。簡易課税を思い浮かべればよいでしょう。この特例はインボイスの届け出をする前とした後で税負担が新たに増える事業者向けに2023年の税制改正により創設されました。
2割特例を使えば、例えばフリーランス(簡易課税第5種)の場合、売上が700万円(税抜)、仕入150万円(税抜)の場合、原則的な消費税計算では、預かった消費税70万円(700万円×10%)から、支払った消費税15万円(150万円×10%)を控除した55万円を納税することになります。
一方で、2割特例を適用する場合は70万円×20%=14万円を納付するのみであり、納税額を軽減させる可能性があります。通常の簡易課税を適用する場合にも70万円×50%=35万円の納付とやはり2割特例が有利となります。皆様の実情に合わせ実際に計算して比較をする必要があることとにご注意ください。こちらは令和8年9月30日の属する課税期間まで適用できるので、最大4事業年度適用できる可能性があります。
なお、適用にあたり制約がありますので、適用する際は十分検討を行い導入してください。
4. 2割特例を適用する事業者で、令和5年10月1日を含む事業年度の開始日の前日までに課税事業者選択届出書を適用している方向け
2割特例を適用するために、令和5年10月1日を含む課税期間の末日までに課税事業者選択不適用届出書を適用し、課税事業者の選択届出書を失効させると2割特例が適用できます。
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